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人生100歳時代の到来とバリアフリー観光「リハビリと観光」

はじめに

つい先日のことですが、下関市内の高校同窓会に講演会の講師として呼ばれる機会がありました。「100歳時代の到来とバリアフリー観光のススメ」という議題にて講演を行ったのですが、時間をかけて資料を作ったので、1回で終わらせてしまうのは勿体ないなぁと思い、ブログにて再編集してアップすることにしました。パワポ中心の資料となりますが、宜しければお付き合いください。
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人生100歳時代の到来

正解は③の24年です。普通に考えると86歳から65歳を引いて21歳となりそうですが、違います。平均寿命とは65歳以下の年齢の人も含んだ数字となるので、65歳以下で亡くなった場合も含まれています。現在65歳以上の方に限れば、平均寿命は更に延びることが分かります。

女性と男性の年齢別の生存率です。70歳代ではどちらも90%以上で変わりはありませんね。80歳代以降は男性の低下率が目立つようになりますが、女性に関しては90歳代でも約50%と高い数字を維持しています。

つまり、現在65歳以上の女性2人に1人が90歳以上まで生存すると言えます。凄いですね!

では、もう一つ質問です。今の男性の平均寿命は79歳ですが、30年以上前の1980年の男性の平均寿命は何歳だったでしょうか?    正解は73歳です。男性もまた平均寿命が延びていることが分かります。※因みに最新の発表によると2018年の平均寿命は、男性が81歳、女性が87歳と更に延びてきていることが分かります。

100歳以上の人口に関しても、30年前と比べて50倍以上と急激に増えていることが分かります。そういえば、数年前からニュースで、100歳のお祝いに贈られる銀杯が、余りに対象者が増えすぎた為、純銀製から銀メッキ製に切り替えられた話題もありましたが、現在の状況を象徴するニュースだなと思いました。

以上のことを踏まえて、人生100歳時代の到来と言われるようになってきました。寿命が延びるということは勿論良いことだと思います。ただ、単純に寿命が延びれば人生はバラ色なのでしょうか?これは少し考える必要があると思います。

平均寿命と健康寿命

最も重要なことは、ただ平均寿命を延ばすのではなく、健康寿命を延ばすことで、男性であれば9歳、女性であれば12歳の差を少なくすることなのです。女性であれば、12年間、何等かの介助を受けながら生活することになります。長いのでしょうか?短いのでしょうか?

健康寿命とは、心身共に自立し健康的に生活出来る期間とされています。つまり、介護を受けずに生活出来る期間とも言いえますね。

リハビリテーションの現状

では、健康寿命を延ばす為にはどうしたら良いのか?手段の一つとしてリハビリテーションがあります。ただ、リハビリテーションを取り巻く現状も変化してきています。まずは様々な制約です。

①1日で最大で3時間、最小だと20分程しかできません。②国が決めた特定の疾患しか対象となりません。③リハビリが出来る期間も決まっています。発症から90日~180日までとなります。④療法士が1日で提供出来るリハビリの量も決められています。

一部例外措置はあるものの、様々な制約がある中でリハビリが提供されている現状があります。

以上よりリハビリテーションの量は圧倒的に不足しています。結果、退院期限は決められているので、心身が十分に回復していない状況で退院をする必要が出てきているのです。

次に、病院ごとに実績付けをされていることはご存知ですか?少し詳しく言うと、患者さん1人1人ごとにリハビリの成績を出す必要があるのです。

真ん中の棒は分数ですね。まず、分子ですが、退院時能力から入院時能力を引きます。つまり、入院時からどれぐらい延びたかというとですね。分母は入院期間です。同じだけ能力が延びたとしても、2か月かかったのか?1か月で済んだのかでは大きな違いですよね。

FIMと書いてフィムと呼ばれる指標を使います。日常生活を送るうえで必要な能力を運動機能、認知機能の側面から18項目126点満点で評価します。患者さん1人1人にこれで点数を付けていきます。

実はこのFIMですが、入院時に点数が特に低い患者さん、いわゆる重症者の方は退院時も能力が低いままという傾向があるんですよね。逆に点数が上がり易い患者さんの層もあります。

つまり、能力が上がり易い患者さんが優先される恐れが出来てしまいます。勿論、病院もそれだけの理由で選んでいる訳ではないのですが…。

病院による患者さんの選定が発生する恐れがシステム上出来てしまうんですよね。
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早期退院とフレイル

今度は病院成績の分母の方ですが、入院期間を減らすことも効果的なんですよね。リハビリに限らずなんですが、全般的に入院期間も短くなってきています。つまり、この場合も心身が不十分な状態で退院する必要が出てきます。

病院内にいる時は、院内は段差もなくて平坦なバリアフリーの環境です。どの部屋も空調が効いて快適です。食事などもベッドまで持ってきてもらえて、下げてもらえます。上げ膳据え膳ですね。

リハビリも若い療法士さんが毎日誘いに来てくれます。それが、退院してしまうと、自宅ないも外も段差もあれば坂道もあります。家中空調が効いているようなこともないですよね。勿論、身の回りのことは自分でする必要があります。リハビリも自分から出向かないと出来ません。

そのような退院後の問題に対処する為に介護保険があるのですが、これも十分な量は提供出来ません。結果、家の中に閉じこもりがちになってしまうのです。

閉じこもり、つまり社会とのつながりがなくなってしまうとどうなるのか?次に生活範囲が狭くなります。こころも沈んでしまいます。食欲もなくなるので食事も取らなくなります。栄養不足にもなります。最後は体も弱ってしまうのです。負の連鎖であるドミノ倒しにならないことが大切です。

ドミノ倒しのことを少し説明してみます。縦軸が自立度です。上に行くほど自立して生活していることになります。横軸は年齢です。右に行くほど年齢が高くなります。

若いうちは勿論自立しています。年齢が進むに連れて、虚弱体質、虚弱化、そして要介護状態へと至ります。この要介護状態になってから再び自立を目指すのは大変な労力がかかります。

そこで中間の部分が重要となります。この部分はフレイルと呼ばれています。フレイルの状態に早く気づいて適切な対応を行えば、再び自立状態へ戻すことも容易となりのです。フレイル覚えて頂いたでしょうか?

フレイルにも幾つかの種類があります。一つは身体的フレイル。筋力低下や栄養不足などです。次に精神心理的フレイルです。軽度認知症や気力低下、抑うつなどです。最後は社会的フレイルです。引きこもりや独居などが挙げられます。

観光とリハビリテーション効果

グラフは高齢者が何に関心があるかの調査です。もう少し言うと何にお金を使いたいかということです。青の棒グラフが介護保険未認定、つまり心身の状態が良い方です。緑の棒グラフは要介護認定を受けている方になります。

1番はやはり健康と医療ですね。2番目に旅行がきています。ただ、旅行の緑の棒グラフが極端に短いことが分かりますか?このことから、心身の低下が見られてくると、本来は関心のあるはずの旅行を諦めてしまう傾向にあることが分かります。

引用文献:京都の観光地訪問によるパーキンソン病の人のリハビリテーション効果

表は京都の観光地訪問によるパーキンソン病の人のリハビリ効果についてになります。作業療法士さんが観光の前後で評価を行っています。GDSは抑うつ、TMTは認知機能、PDQ39はQOLの評価を行っています。その他、身体機能の評価も行っているようです。

結果、抑うつ気分の改善、TMT-Bの所要時間短縮、PDQ39値の改善、身体機能の改善などが見られたとのことです。以上より、観光へのリハビリテーション効果が示唆されると言えます。

先ほどの負の連鎖とは逆ですね。観光は社会との繋がりを作るキッカケになります。社会との繋がりが出来れば、生活範囲が広がり、こころも充実し、食欲も湧いて、栄養状態も改善します。結果、体も充実してくるのです。これを正の連鎖と呼ぶことが出来ます。

以下に続く




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プロフィール

 

 

病院にて作業療法士として勤務する傍ら、休日は下関を中心とした関門地域のバリアフリー観光情報の収集・発信を行っている森井広毅(もりい ひろき)と申します。ご高齢の方や障がいをお持ちの方が外に出るきっかけになる情報を。訪れる人が増えることで、下関や関門地域の活性化にも貢献できたらと考えています。

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