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更衣動作の手順と問題の対応方法について

目次

更衣動作とは

更衣動作とは外気などの気温変化に対して体温を一定に保つ為の手段や、傷の予防、防虫など機能的な役割が第一に挙げられます。加えて現在では、立場や嗜好など社会的な役割を担うようになっています。

TPOに合わせた衣類選び、自身の趣味(主張)に合わせた服装選びなど、更衣動作は社会生活を営む上で重要な手段となっているのです。逆を言うと、更衣動作に問題が生じてしまうと、閉じこもりなど社会から切り離された生活へと転じてしまう恐れがあります。
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更衣動作の手順

上着「前開きタイプ」

①動きが悪い側の腕(片麻痺や関節可動域制限)から片袖を通す。上着は出来るだけ高い位置(肩)まで上げておく。
②良い側の腕を衣服の袖に通す。
着るときは「悪い側⇒良い側」脱ぐときは「良い側⇒悪い側」が原則となる。
※上着の着替えを自立して行う為には「座位の自立(壁や椅子を利用しても良い)」が原則となる。

悪い側⇒麻痺や関節可動域制限(関節の動く範囲が狭い)、疼痛などにより、動かしづらくなった側。特に問題がない場合は「非利き手」側として考えても良い。

上着「かぶりタイプ」

①主には2パターンの方法がある「両袖を通してからかぶる」「かぶってから両袖を通す」。本人が行いやすい方を選択する。
②背中側に意識が向きにくい(まくし上がっている)ので、触れたり、鏡などで確認をする。
※一般的には「両袖から」は女性が多く、「頭から」は男性が多い印象。

ズボン「座位で行う場合」

①動きが悪い方の足を、良い方の足の上に乗せるように組む。
②ズボンを悪い方の足首まで全て通す。
③悪い方の足を下ろして、腰の部分までズボンを上げる。
④良い方の足にもズボンを通して腰まで上げる。
※健康な場合は立って行うことが多いが、障がいや加齢などにより立位バランスが低下している場合には、立位は危険が伴う為、座位にて行う方が望ましい。

ズボン「臥位で行う場合」

①長座位(足を投げ出して座る)にて、悪い方の足⇒良い方の足の順にズボンを通す。
②臥位にて良い方の膝を立て腰を浮かせて、ズボンを腰まで引き上げる。

更衣障害への対応方法

上着「前開きタイプ」対応

片麻痺などの場合、ボタンの操作が難しいケースがあります。その場合は福祉用具「ボタンエイド」の使用を検討します。また、ボタンをマジックテープや磁石性の物に変更することも効果的です。
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上着「かぶりタイプ」対応

袖口や襟が狭すぎる(きつい)ものは、動作がし辛くなるので、締め付けの弱い物を選ぶようにしましょう。また、前後左右が分かりづらくなることもある為、プリントなどを目印として利用することもオススメです。

目印に関しては、衣服に付いている「タグ」を利用することも可能です。例)⇒腰回りにあるタグが右にくるように上着を着るなど。

ズボン対応

ズボンのウエスト部分のボタン(チャック)操作は特に難しくなります。ボタン操作が困難な場合はウエスト部分はゴム製にする方が簡単になります。また、ズボンを引き上げる動作が難しい場合は、ウエスト部分にループ状のヒモを取り付けると引き上げ動作が簡単になります。

 

その他対応方法

ファスナーを大胆に取り入れる方法もアリです。例えば、ズボンのサイドを全てファスナーにすることで「足を通す」行為が無くなる為、より簡単にズボンを履くことができます。
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衣服の素材について

個人の好みの問題でもありますが、衣服の素材に関しては綿100%よりも化学繊維を含んだ物をおススメします。化学繊維は、シワになりにくい、乾燥し易い、伸びやすいなどの特徴を持っている為、更衣動作が簡単になる場合があります。

加えて、最近の化学繊維では、発熱機能や防臭機能など様々な付加価値が備わっています。肌ざわりも違和感の少ない物が多くなってきているので、積極的に検討してみても良いでしょう。

更衣動作≒オシャレ

障がいをお持ちの方やご高齢の方など、更衣動作に何等かの問題がある方の場合、衣服を選択できる範囲は限定されてしまいます。その為、着易さや介助し易さを優先した衣服が選ばれる傾向があります。

しかし、冒頭にて述べたように、衣服は機能的な理由(防寒・防虫・防傷など)だけで選択しているのではありません。卸したての衣服を着て街に出た時のウキウキ感は、誰もが経験したことではないでしょうか?

大切な人と会うのであれば、スーツなど正装するでしょう。友達と会うのであれば、お気に入りの衣服を選ぶでしょう。更衣動作とは、社会と自身とを繋ぐコミュニケーションツールとなっていることも忘れてはいけません。

 

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