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MMSEとHDS-Rの違いは?~項目ごとに比較します~

Mine Mental State Examination(MMSE)とは?

MMSEとはアメリカで認知症検査として開発された方法です。日本では長谷川式簡易知能評価スケール(以下HDS-R)が使用されていることが多いですが、海外ではMMSEが一般的に使用されています。

MMSEとHDS-Rは質問内容が似通っていて、どちらを使用したら良いのか?と悩む場合もあります。今回はMMSEの項目ごとの解釈を踏まえて、HDS-Rとの比較を行おうと思います。
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MMSE項目別解釈とHDS-Rとの比較

①日時の質問

  1. 今年は何年ですか?(0・1)
  2. 今の季節は何ですか?(0・1)
  3. 今日は何曜日ですか?(0・1)
  4. 今日は何月何日ですか?(0・1

いわゆる「見当識(自身のおかれている状況を認識する)⇒意識障害の程度」を評価しています。HDS-Rとの違いは「季節」の質問が加わっていることです。

個人的な見解ですが、病院生活などが長くなると、私達でも曜日や日時などの誤差が出やすくなります。ただ、月や季節に関しては、通常は間違いは生じ辛いと考えます。つまり、月や季節にまで間違いが出た場合は、より見当識障害が進んでいると考えることができます。

②場所の質問

  1. 今いる場所の名前は何ですか?(0・1)
  2. ここは何県ですか?(0・1)
  3. ここは何市(町)ですか?(0・1)
  4. ここは何階ですか?(0・1)
  5. ここは何地方ですか(0・1)⇒中国地方など

こちらも「見当識」の評価を行っています。HDS-Rは場所の名前だけなので、MMSEはより細かく場所の見当識を評価していることが分かります。私の経験的には、1⇒5の順に正答率は低くなる印象です。

③名称呼称⇒直後再生

  1. 私が今から3つの言葉を言いますので後から繰り返して下さい⇒「桜、猫、電車」(0・1・2・3)
  2. 後ほどまた聞きますので良く覚えておいて下さい。

HDS-Rと全く同様の質問内容となります。言語性(聴覚)短期記憶の評価を行っています。耳から入ってきた言葉をごく短時間(数秒間)記憶して再生する能力となります。

④計算問題

  1. 100から7を引いて下さい(0・1・2・3・4・5)⇒100から7を順に5回引いていく

ワーキングメモリと即時記憶の評価を行っています。特に繰り下がりの計算(93-7など)では、頭の中で一時的に元の数字を保持しながら、計算を行う必要があり難易度が高くなります。

HDS-Rも同様に100から7を引いていきますが、2回(86)までしか行いません。より長く負荷をかけることで、問題が露呈し易い状況をつくっています。

⑤名称呼称⇒遅延再生

  1. 先ほど言った3つの言葉を教えて下さい(0・1・2・3)

言語性(聴覚)中間記憶の評価を行っています。HDS-Rと同様の質問内容ですが、ヒントによる再生がありません。ヒントを使うことが出来ない為、Cue再生効果の評価が出来ないことが残念な点です。「Cue再生」に関しては、以下のリンクをご参照下さい。

⑥物品呼称

  1. 時計(もしくは鍵)を見せながら「これは何ですか?」(0・1)
  2. 鉛筆を見せながら「これは何ですか?」(0・1)

構音や錯誤、自発的な発話などの呼称障害の評価を行っています。また、重度の認知機能障害の場合には物品の認識そのものにも障害が生じている可能性があります。

HDS-Rに即時物品呼称を行う質問はありません。ただし、5つの物品を隠して呼称させる質問はあります。こちらは、呼称そのものの評価よりも、視覚性記憶の評価を行うことが主にあると思われます。

⑦文の復唱

  1. 今から私が言う言葉を覚えて繰り返し言って下さい「みんなで力を合わせて綱を引きます」(0・1)

「物品呼称」同様に、物品の認知機能、呼称機能の評価を行っています。加えて、言語性短期記憶の評価も行っていますが、少し長い文になるので、より高い負荷がかかるようになっています。HDS-Rでは同様の質問はありません。

⑧口頭指示

  1. 今から私が言うとおりにして下さい⇒右手にこの紙を持って下さい・それを半分に折りたたんで下さい・そして私に下さい(0・1・2・3)⇒紙は机に置いた状態で始める。

3つの複数動作を順に行うことが求められます。つまり、一つの動作を行っている最中にも次に行う動作を覚えておく必要があります。こちらも、ワーキングメモリの評価を行っていることが分かります。また、声掛けによる指示(聴理解)の程度も評価を行っています。

加えて、認知症の中核症状である失行の評価を行うことも出来ます。

HDS-Rで同様の質問項目はありません。MMSEはHDS-Rにはない、動作性の評価を行っていることが分かりますね。

⑨書字指示

  1. この文を読んで、この通りにして下さい⇒「目を閉じてください」(0・1)

視覚性の理解度を確認しています。上記「⑧口頭指示」では「耳」から。「⑨書字理解」は「目」からの理解度を確認していることが分かりますね。加えて、失読などの評価を行うことも目的としてます。HDS-Rに同様の質問項目はありません。

⑩自発書字

  1. この部分に何か文章を書いて下さい。どんな文章でもかまいません(0・1)

失書の評価を行っています。HDS-Rで同様の質問項目はありません。

⑪図形模写

  1. この図形を正確にそのまま書き写してください(0・1)

構成障害や半側空間無視の評価を行うことが出来ます。構成障害に関しては更に、①行為障害(失行)、②視空間認知(視覚失認)などに分類して評価することも必要となります。こちらもHDS-Rに同様の質問項目はありません。
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MMSEカットオフ

  • 30点~24点⇒正常
  • 23点以下⇒認知症の可能性

カットオフ(正常と認知症を分ける点数)はあくまでも目安です。重要なのは、どの項目がどの様に間違ったのか?という視点で各個別に評価判断をすることです。

MMSEとHDS-Rの違い「まとめ」

 

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