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IADL「家事編その①」問題点と対応方法

目次

家事動作とは?

家事動作とは家庭(家)に関する事柄(事)全般を指すものと言われます。IADLそのものとも言えますが、下表の様なIADL評価には含まれていないものもあります。今回は、下表のIADL評価には含まれていない項目を中心に話しを進めていきます。

家事動作の種類

家事動作とは家庭間や個人間において種類の差(頻度・重要度など)が大きくなる傾向があります。その為、分類することが簡単ではありません。そこで一例ではありますが下記のように分類していこうと思います。

とはいえ、かなりの量になるので数回に分けての報告となります。今回は「1~4」までの報告となります。

1.掃除(居室・トイレ・風呂・窓・キッチン)
2.郵便物の管理(新聞紙をまとめるなど不用品の整理)
3.布団(布団敷き・布団干し)
4.風呂の準備
5.庭の管理(水やり・草抜き)
6.ゴミ出し
7.食後の片付け(食器洗い・食器収納)
8.仏壇の管理
9.来客の対応
10.自家用車の管理(車検保険関連・点検・清掃)
11.子供・要介護者の世話

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1.掃除(居室・トイレ・風呂・キッチン)分析

居室清掃

掃除機の使用

掃除機のタイプには大きく分けて、コード付きタイプ(キャニスター型)とコードレスタイプ(スティック型)に分けられます。

コード付きタイプの特徴として、電源をコンセントからとる為、充電切れの心配が必要ないこと。本体が床上にある為、腕への負担が少ないことなどがメリットとして挙げられます。反面、本体のサイズが比較的大きくなることや、コードの長さに限りがあることなどから、部屋から部屋への移動などに支障が出ることなどがデメリットとして挙げられます。

コードレスタイプの特徴として、充電式である為コードが無く、取り回しが容易であること。全体の重量が概ね軽いことなどがメリットとして挙げられます。反面、稼働時間に限りがあることや機種が限定されており、比較的高額であることなどがデメリットとして挙げられます。

いずれの場合も数キロ単位の機械を手に持って、様々な姿勢にて動作を行う必要があります。また、機種に応じた吸引後のごみ捨てを行う必要もあります。上肢(手指)の巧緻性や動的な立位バランス能力が求められます。

 

雑巾の使用
  1. 蛇口からバケツに水を汲む⇒蛇口を捻る(蛇口のタイプによるが→手指巧緻性・ピンチ力・手関節尺屈)。
  2. 水が入ったバケツを掃除場所まで運ぶ⇒ある程度の重さのあるバケツを運ぶ(握力・片側に重量がかかっても移動することが出来る立位・歩行バランス)。
  3. 雑巾を水に濡らして絞る⇒両手握力・両手関節掌背屈能力。
  4. 雑巾で拭く⇒四つ這い姿勢での拭き掃除(半側で肩関節周囲筋群や体幹筋群による体重支持→もう半側でワイピング動作)。

トイレ清掃

便器内の清掃

便器内に関しては、絵の長いブラシ型を使用するケースが多いと思います。握力や前かがみ姿勢での動作を行う為の立位バランス能力が求められます。

床面の清掃

床面に関しては、使い捨てペーパーなどで拭き掃除を行うケースが多いと思います。上記「雑巾の使用」と同様の能力が求められますが、狭い空間にて行うのでより高い能力が求められます。

風呂清掃

浴槽の中に入りスポンジで磨く
  1. スポンジへ洗剤をつける動作⇒洗剤の蓋を開ける為の手指巧緻性、スポンジにつける為の両手の協調動作など。
  2. 浴槽の中へ入る際の跨ぎ動作⇒片側下肢での筋力、バランス能力など。
  3. 浴槽内でのしゃがみ動作⇒足関節を中心とした下肢ROM(関節可動域)、バランス能力など。浴槽内という非常に狭い空間で行うので、特に高度な能力が求められる。

いずれの場合も洗剤や水の影響で非常に滑り易くなっているので注意が必要です。

浴槽の外から柄付ブラシで磨く

浴槽の底部分を洗う為には前かがみになる必要があります。特に深い部分に手を伸ばす必要がある為、動的な立位バランス能力が求められます。

キッチン

食器洗い
  1. スポンジに洗剤を付ける
  2. スポンジで食器を洗う
  3. 水道栓を開く
  4. 水道水で食器の洗剤を流す
  5. 水道栓を閉じる
  6. 食器を水切りケースに入れる

基本は上記の様な手順で進むと思います。洗剤が付いて滑り易くなった状態で、割れやすい食器を扱う必要がある為、両手の高度な協調動作(巧緻性)が求められます。

食器洗い以外では、生ごみの処理やシンクの清掃などが挙げられます。生ごみの処理に関しては、水切りや袋を密封するなど、こちらも両手の協調動作(巧緻性)が求められます。

また、生ごみ処理に関しては、キッチンの衛生状態を保つ上で最重要項目となる為、優先的に対策を考えていく必要があります。

2.郵便物の管理(新聞紙をまとめるなど不用品の整理)分析

「新聞を読む人は少なくなっている」とは言われますが、未だに高齢世帯の新聞購読率は高い状態にあります。基本的には毎日届く新聞紙なので、溜まってしまうと重量も増して処理も大変になります。溜まった新聞紙の整理から新聞回収までの作業が必要となります。

3.布団(布団敷き・布団干し)分析

寝具に関しては、敷布団とベッドのどちらかになるかなと思います。ベッドの場合には日常的な管理は少ないのですが、敷布団の場合は「畳んで収納する」作業が必要となります。布団はかなりの重要となる為、全身の筋力や立位バランス能力が求められます。

4.風呂の準備分析

前述した風呂清掃と比べると、動作的難易度は低くなります。ただし、ボタン操作など認知的能力を求められる割合が多くなります。

  1. 風呂の栓をする⇒新しいタイプはボタンを押すだけで栓をすることが可能ですが、古いタイプでは浴槽底面まで手を伸ばす必要る為、注意が必要です。
  2. 蓋を閉める⇒蓋の種類にも、板タイプやジャバラタイプなどがありますが、いずれも、相応の大きさがあるので、全身の筋力や立位バランス能力が求められます。
  3. 給湯ボタンを押す⇒殆どのタイプが給湯ボタンを押すだけで良いものですが、古いタイプでは、適当な時間でoffにする必要がある場合もあります。

1.掃除(居室・トイレ・風呂・キッチン)対策

居室清掃の対策

掃除機の使用

掃除能力であれば「コード付き>コードレス>掃除ロボット」となります。因みに、掃除ロボットとはボタンを押すだけで、自動で掃除をしてくれる機械(ルンバなど)を指します。

反面、手軽さであれば「掃除ロボット>コードレス>コード付き」になります。機種の多さ(選択肢)であれば「コード付き>コードレス>掃除ロボット」となります。

使用者の能力に沿って選ぶことが重要ですが、普段から使い慣れているモノにこだわりが強い場合もあるので、総合的に検討する必要があります。

雑巾の使用

雑巾の使用に関しては、水の準備や四つ這い姿勢での作業など負担が大きくなります。立位など楽な姿勢で行うことの出来るモップ型の雑巾など、有名どころでは「クイックルワイパー」などがオススメです。

雑巾の代わりになるウエットシートに関しても、使い捨てが出来る為、簡単かつ衛生的に管理することが可能となります。雑巾がけの出来るロボットも出ていますが、掃除機タイプと比べると種類が限定されている印象ですね。

トイレ清掃の対策

まずは、汚れづらい(掃除し易い)環境にすることが重要となります。

  1. 男性も座って用を足してもらう
  2. トイレ内の小物(モップ)は外に出さない
  3. 便器カバーなどは使用しない

そのうえで、トイレ掃除用品を有効活用していきます。

便器⇒便器に泡スプレーをして、時間をおいてから水を流すだけ。

床⇒「居室清掃」と同様に、モップ型の雑巾を使用する。

風呂清掃の対策

トイレ同様に、汚れづらい環境にすることが重要となります。

  1. 利用後は、水シャワーを使用して浴室全体の石鹸カスなどを洗い流す。
  2. 水切りなどを使用して壁面の水気を切る。
  3. 小物類(シャンプーやブラシなど)は吊るすなどして、床面と接しなしないようにする。
  4. 換気を徹底する。

トイレ用品同様に、泡スプレーをから水を流すだけで良い(擦らずに済む)用品がオススメです。

キッチン清掃の対策

キッチンに関しても、まずは汚れづらい環境にすることが重要となります。

  1. 小物は外に出さない。
  2. 都度、簡単に掃除(拭き掃除など)する。
  3. 調理方法を検討する⇒フライパン調理からレンジ調理など。

新しい洗剤用品などは、泡だけで汚れを落とすなど機能進化が目覚ましいものがあります。ただ、汚れが酷くなってしまうと対応が難しくなってしまうので、こまめな清掃が重要となります。

2.郵便物の管理(新聞紙をまとめるなど不用品の整理)対策

古新聞も溜まると結構な重さになります。キャスター付きの新聞ストッカーがオススメです。お値段はしますが、一定数溜まってもヒモ掛けし易いタイプの新聞ストッカーもオススメです。

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溜まった古新聞は資源ごみとして自宅まで回収(玄関前に出す)してくれる行政サービスもありますので、負担の少ない方法を検討する必要があります。

3.布団(布団敷き・布団干し)対策

「分析」でも述べたように、布団の上げ下ろしは身体に大きな負担をかけますので、ベッドの利用をオススメします。ただ、どうしてもベッドの高さに慣れないなどベッドを好まないケースもあります。

その場合は、「折り畳み式スノコベッド」などもオススメです。脚がないタイプであれば、布団と高さはほぼ変わりません。また、ベッドのバネの力を利用するので、比較的楽に布団をたたむことも出来ます。

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4.風呂の準備対策

給湯タイプにより、動作の難易度が大きく変わります。給湯タイプに応じた対策が必要となります。

  1. 風呂の栓をする⇒ボタン式の栓であれば簡単ですが、そうでない場合は「おもり付きのゴム栓」であれば、スムーズに収めることが出来るかもしれません。最後の一押しに関しては、無理に手を伸ばさずに柄付ブラシなどを利用することもオススメです。
  2. 蓋を閉める⇒新しい風呂に多い板タイプ(2枚)の蓋は取り扱いが難しくなります。小さく丸めることが出来るジャバラタイプや折り畳みタイプの利用がオススメです。
  3. 給湯ボタンを押す⇒多くの給湯器が空焚きや焚き過ぎを感知するタイプとなっていますが、旧式の場合は注意が必要です。空焚きなどを防止する為に、タイマーなどを併用することをオススメします。

まとめ

ADLと比較して、IADLは複雑な動作で成り立っています。その為、日々新しい道具が生まれてきています。IADLを効率的に行う為には、それらの道具を如何にして効果的に利用するかがカギとなるのではないでしょうか?



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