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排尿障害とリハビリテーション「運動機能編」

排尿を行うために必要なこと

  1. 生理的機能⇒身体が本来持っている排尿機能(蓄尿・排出)
  2. 運動機能⇒トイレまでの移動、便器への立ち座り動作、ズボンや下着の着脱など
  3. 認知機能⇒尿意を正しく感じる、トイレまで行こうとする意志、トイレの場所を認識、トイレまでの移動、ズボンや下着の正確な着脱、排尿後の正確な後始末、清潔維持の観念など
  4. ソフト環境⇒自宅なのか施設なのか(介助者が誰なのか)、介助者がいるのか、公的な保険(介護保険など)はどの程度使用できるのかなど
  5. ハード環境⇒家屋状況(木造、プレハブ、コンクリート等)、トイレの種類(和式、洋式、ポータブル等)、トイレの場所(1階、2階、離れ等)手摺りの設置状況など

今回は「運動機能」についてお伝えします。


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排尿を行うために必要な運動機能

排尿を行うための必要な動作は大きく分けて「8」に分類できます。

  1. 起き上がり
  2. 立ち上がり
  3. 移動(トイレまで)
  4. トイレドアの開閉
  5. ズボン・下着の上げ下ろし
  6. 便器に座る
  7. 陰部の清拭・ウォシュレット使用
  8. 水洗レバーの操作

1.起き上がり

  1. 両膝と股関節を曲げる
  2. 上肢を前方に伸ばす
  3. 起き上がる方向に上肢をまわして身体(体幹)をひねる
  4. 身体(体幹)と同じ方向に骨盤から下肢もひねる⇒横向き(側臥位)の状態になる
  5. 下肢をベッドの下に下ろす
  6. 上側の上肢で身体を起こしながら、下側の上肢を外側に伸ばして肘をつく
  7. 肘を伸ばしながら身体を起こしていく⇒ベッド下に下ろした下肢の重みも利用する

 

 

一人での起き上がりが難しい場合は、布団よりもベッドを利用する方が安全・簡単な場合があります

2.立ち上がり

立ち上がりのポイントは、座っている際に体重が最もかかっている「臀部」から、いかにスムーズに両足(足部)に体重を移す(重心移動)ことが出来るかになります。

体重が臀部から足部に移るタイミングを確認するためのチエックポイントは「3か所」で大丈夫です。

  1. 足首(緑丸)が膝(黄丸)よりも後ろにする
  2. 股関節を屈曲(前かがみ)にして、肩(赤丸)が膝(黄丸)と同じラインまで「前方」へ誘導する⇒同じラインに近づくことが、体重が臀部から足部に移り出すサインになる
  3. 「前方」への誘導から「上方」への誘導(両足に力を入れる)に移す

立ち上がりを誘導する際に「お辞儀をして下さい(頚部屈曲)」と声掛けをすることがあります。重心移動という観点からは頭部の重みを利用するなど効果的です。ただし、「お辞儀」は勢いがつき過ぎる、床面が迫ってくるような感覚になるなどの理由から、恐怖心を煽ってしまうことにもなります。基本的には顔は正面(頚部伸展)を向くようにしましょう。

3.移動(トイレまで)

トイレまでの移動は、普段の移動とは状況が違う場合があるため注意が必要です。

  1. トイレを我慢した状態での移動となるため慌てている(注意散漫)となっている
  2. 急を要するため、普段使っている装具や杖などを使用せずに移動する
  3. 夜間などは、暗い場所を移動する
  4. 夜間などは、寝起き(覚醒不良)の状態で移動する

問題を解決するためには、「移動距離を短くする(トイレの隣を寝室にするなど)」「動線上に不要な物を置かない」「動線上を明るくする(常夜灯を設置するなど)」などが挙げられます。

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4.トイレドアの開閉

一般的なドアノブ式の開き戸では幾つかの注意点があります。

  1. 開き戸の場合、押す場合も引く場合も身体(重心)が大きく動く必用がある⇒転倒の可能性が高くなる
  2. ドアノブの場合、ある程度の握力や手首を捻る動作などが求められる

問題を解決するためには、「引き戸」への変更が理想です。難しい場合は「アコーディオンカーテン」などは、より安価で簡単に設置することが可能となります。

開き戸の中でも特に内開き(トイレ側に扉が開く)タイプは避ける必要があります。トイレの中で倒れてしまったなど一刻を争う場合でも、中の人に扉がぶつかってしまい開くことができません。早めの対策をお勧めします。

 

5.ズボン・下着の上げ下ろし

トイレ動作の中で最も難しいのが「ズボン・下着の上げ下ろし」になります。トイレという狭い空間の中でバランスが崩れやすい動作を行う必要があるからです。

  1. かがむ(下方に上肢を伸ばす)動作⇒ズボン・下着の上げ下げに必要な動作
  2. ひねる(後方に上肢を伸ばす)動作⇒ズボン・下着の後方を掴む際に必要な動作

問題の解決には、「ズボンのチャックやボタンは、ゴム製の物に変えて脱ぎ履きがしやすくする」「トイレ内に手摺りを設置することで、身体を支えやすくする」などが挙げられます。

6.便器に座る

基本的には「2.立ち上がり」と逆の流れで行えば可能です。ただし、椅子と比べて便器の場合は「肘置きがない」「便座がグラつく可能性がある」「便器中央は穴が開いているので、座るスペースが限られる」などの問題があります。手摺りなどを設置して、ゆっくりと慎重に座ることができるようにします。

7.陰部の清拭・ウォシュレット使用

  • 陰部の清拭⇒トイレットペーパーを必要な分だけ出して切り取る能力。前方から手を入れるため、「両足を開く能力」「小さく前かがみ(体幹前屈)する能力」などが必要となります。
  • ウオシュレット使用⇒最近のトイレでは、ウオシュレットに加えて乾燥機能が付いたものもあります。清潔を保つためには便利な機能となっています。ただし、操作には小さなボタン操作が必要となり、ご高齢の方などは使用難しい場合もあります。

8.水洗レバーの操作

一般的に水洗レバーは便器の奥側にあるため手を伸ばす必要があります。また、水洗レバーを引っかけて引くという上肢の機能も求められます。便器から立つと自動で流れるタイプの導入を検討または、手摺りの設置などを検討します。

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病院にて作業療法士として勤務する傍ら、休日は

 

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