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仮名ひろいテストと前頭葉機能~実施と解釈の方法~

仮名ひろいテストとは?

仮名ひろいテストとは「臨床高次脳機能評価マニュアル2000(通称浜松式高次脳機能スケール)」内にあるテスト項目の一つです。通常はその他の項目を含めて一連の流れの中で行うものですが、前頭葉機能評価として単独で行われているケースも多くなっています。

前頭葉機能評価としては数少ない年齢別の平均値が示されたテストであるので、年齢別の平均群との比較が可能なのも特徴となっています。※PDFファイルへリンクあり⇒「脳神経外科臨床における高次脳機能検査法と意義
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仮名ひろいテストの実施方法

引用文献:若年健常者におけるかなひろいテスト成績の比較

仮名ひろいテストは「無意味綴」と「物語文」の2種類があります。①「無意味綴」、②「物語文」の順番にて実施します。

① 無意味綴

文章の中から「あ・い・う・え・お」の5文字を2分間で、出来るだけ多く(なるべく早くという指示でもOK)チェック(○でも✓でも良い)を付けるように指示します。

② 物語文

文章の中から「あ・い・う・え・お」の5文字を2分間に文章の意味を読み取りながら、出来るだけ多く、見落とさないようにチェックを付けるように指示します。

仮名ひろいテストの評価を行う前に

仮名ひろいテストと前頭葉機能障害

「臨床高次脳機能評価マニュアル2000」内にて、「前頭前野機能との関係を論じていきたいのだが、いろいろな被検者に対して検査を行っていくと、成績の解釈はそれほど単純ではないようだ。(中略)すべてを前頭葉機能障害というわけにはいかないだろう。」と記載されています。

つまり、標準値との比較は可能ですが、それだけで判断するのではなく、後述する方法にて総合的に判断する必要があるようです。これは、どの評価にも言えることですね!

正常者基準値の傾向

  • 無意味綴りより物語文は平均2~6個正解数が少ない
  • 低下の度合いは40歳までと70歳以上を比較すると半分の正解数
  • 標準偏差は10前後で年代による差(40歳以上)はない
  • 正常群では物語文の内容は把握されていた

引用文献:臨床高次脳機能評価マニュアル2000

仮名ひろいテストと病巣特異性

  • 前頭葉病巣内では眼窩面の損傷で(中略)仮名ひろいテストの得点低下が目立つ症例があった
  • 前頭葉眼窩面障害の症状としては、脱抑制、判断力の低下、注意の転導性の亢進と表現(中略)正常パターンの行動をする能力、外的・内的干渉制御の障害

引用文献:臨床高次脳機能評価マニュアル2000

以上の内容からも、前頭葉機能障害=仮名ひろいテスト結果の低下ではないことが考えられます。ただ、多くの症例に「臨床高次脳機能評価マニュアル2000」を実施してきた私個人の感想としては、前頭葉機能障害≒仮名ひろいテストとして考えてもよいのかなと思っています(局在性に留意する必要がないのであれば)。
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仮名ひろいテストの評価方法

得点の算出方法

  • 正しくひろい上げられた仮名の数(無意味綴60個 物語文61個)
  • 物語文においては読み終わった部分までの内容を把握しているかの判定をする(正しい内容を把握10点・一部に不正確な内容5点・まったく内容を把握していない0点)
  • 「臨床高次脳機能評価マニュアル2000」では年齢別換算表にて補正を行って評価する

カットオフについて

「臨床高次脳機能評価マニュアル2000」上では、カットオフについては明示されてません。上記にて記載したように粗点を出したうえで、年齢別換算表を使用することになります。

年齢別換算表については、平均値と標準偏差が提示されている為、それらと比較することになります。ただし、他の検査と同様に平均点以下=前頭葉機能障害とはならないことに注意が必要です。

引用文献:臨床高次脳機能評価マニュアル2000

物語文の意味把握について

物語文の意味把握に関しても得点配分がされていますが、「臨床高次脳機能評価マニュアル2000」上では平均点は出されていません。

解釈の方法

以下より私なりの解釈方法について記載します。記載内容意外にも、被検者の様々な反応(情報)を注意して収集し、自分なりに推論的視点にて解釈を行うことが大切だと思います。

ミスが多いのにドンドンと問題に取り組む(見直しや迷いが見られない)

認知や行動の脱抑制が起こっている可能性を考えます。日常生活では、慎重さに欠けるような行動を起こすリスクがあります。

後半につれて正解数が低下する

注意機能の中でも「持続性」の低下を考えます。ある程度の長い時間、注意を要する課題に対してミスが多くなるリスクがあります。

無意味綴りと比較して物語文の正解数低下が目立つ

注意機能の中でも「転導性」や「多方向性」の低下を考えます。周囲の情報を制限して集中出来る環境であれば可能なこと(病院の訓練室など)も、日常生活上では多数の情報を処理する必要がある為、問題が起きやすくなるリスクがあります。

問題を解くことが出来ずにストップする

重度の認知機能障害など、問題を理解出来ていない可能性を考えます。その場合、仮名ひろいテストなどで大脳限局性を問う意味は薄くなります。

さいごに

「臨床高次脳機能評価マニュアル2000」は個人的にも使いやすく(解釈が行いやすい)多くの症例で実施してきました。改訂版が出てから、長い時間が経っているのでデータの古さなどは否めませんが、仮名ひろいテストを行うのであれば必読の書であると思います。

残念ながら書籍での「臨床高次脳機能評価マニュアル2000」は販売は終了している模様です。電子書籍での販売に切り替わっている為、興味のある方は新興医学出版社のサイトを覗いてみて下さい。




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