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IADL「外出・公共交通機関利用」問題点と対応方法

目次

外出とは?

外出とは、身体的な移動能力(歩行や車椅子自走など)に加えて、路面の段差・坂道、車両・人の往来、信号機、雨などの気象状況など、様々な状況を考慮する必要があります。

加えて、外出範囲(質)の拡大を図る為には公共交通機関の利用が必要となってきます。公共交通機関を利用する為には乗り場までの移動、乗り物への移動、乗車料金の支払いなど様々な能力が求められます。

公共交通機関意外として「自家用車」の利用。より難易度の高い外出として「旅行」が挙げられます。これらは、相応の情報量となる為、今回は割愛をしています。以降作成予定とします。
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障がいをもつ方の外出状況

引用文献:国土交通省 地域における福祉タクシー等を活用した福祉輸送のあり方調査報告書

10年以上前の古いデータになりますが、身体障がいをもつ方の場合、週に2回以上の外出するケースが6割以上もあることが分かります。つまり、障がいの有無に拘わらず、多くの人にとって外出は不可欠な要素であるといえます。

外出のポイントと対応方法

外出で考慮すべきポイントは以下のようになります。

  1. 基本的な移動手段・能力
  2. 外出の目的(外出先)
  3. 外出先の道路環境
  4. 外出時の天候
  5. 介助者の有無

①基本的な移動手段・能力

まずは屋外での移動手段を決める必要があります。車椅子などの福祉用具を利用するのか?自身の足で歩く場合でも杖などの補助用具を使用するのか?使用するのであればどのような用具なのか(一本杖、四点杖、ロフストランドクラッチなど)?

また、自身の足で移動する場合は歩行能力の評価も必要となります。本来の歩行評価は様々な状況を考慮して行うことが求められますが、簡便な方法としては「歩行速度」の評価が挙げられます。

「歩行速度」の評価として代表的なモノは「Timed up & Go Test(TUG)」や「6分間歩行」などが挙げられます。

~TUGとは~
椅子に座った状態から、3m先の目印を廻って再び椅子に戻るまでの時間を測定します。
~6分間歩行とは~
30mの直線距離を往復しながら、6分間を出来るだけ早く歩いた距離を測定します。

②外出の目的(外出先)

外出の目的によって、難易度が変化する場合があります。例えば、「近所の散歩」であれば往復時に状況の変化は起こりにくいでしょう。しかし、「買い物」であった場合は帰りには買い物袋を下げて帰る必要があるなど、難易度が上がることがあります

また、外出先までの距離も考える必要がります。外出先までの距離と自身の移動能力を踏まえて、移動手段を検討する必要もあります。

③外出先の道路状況

屋外では様々な路面状況が想定されます。以下に状況別の分析内容を説明します。いずれの場合も、実際のルートを事前に確認したうえで、対応方法(ルート変更など)を考える必要があります。

路面の凹凸
  • 路面の劣化による凹凸⇒レンガタイプ(インターロッキング)の歩道では特に注意が必要。
  • 路面環境の変化による凹凸⇒歩道と車道の境目、グレーチング(排水用の金属製の蓋)、マンホール、点字ブロックなど。
  • 設置物による凹凸⇒歩道にある街路樹などは、根本の周辺が一段凹んでいる(土の為)ケースが多い。
路面の傾斜
  • 道路状況⇒地域性もありますが、坂道の多い地域もあり。
  • 路面状況の変化による傾斜⇒歩道から車道(横断歩道)の境目など。
交通量
  • 車両の交通量⇒車両の交通量が多ければ事故のリスクも高くなります。特に交差点での横断歩行利用時では右左折車が侵入してくることも多くなる。反面、交通量が多いということは、バスやタクシーなどの公共交通機関(後述)が多いとも言える。
  • 人の交通量⇒人の交通量が多くなれば、接触などのリスクも高くなる。反面、人が多いということは、何かあった時に助けが求めやすいとも言える。
歩道の障害物

自転車などの違法駐車、電柱や看板などの設置物、街路樹など歩道にも様々な障害物が存在しています。

④外出時の天候

  • 晴れ⇒日除け(日傘・帽子)などの有無を検討する必要あり
  • ⇒傘やカッパなどの雨具使用を検討する必要あり
  • 雪(寒い)⇒防寒着の着用を検討する必要あり

いずれの場合も、荷物が増えることになり不自由さ(リスク)が増すことになります。悪天候時は外出中止の検討や、リスクの少ない方法の検討(カッパなど両手の空くものを着用)する必要があります。

⑤介助者の有無

介助者(同行者)の有無も外出時の難易度を決定する重要な要因といえます。また、介助者の介助能力(経験)によっても状況が大きく変わるので、目的地までのルートと介助者の介助能力について無理がないか確認する必要があります。
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公共交通機関利用のポイントと対応方法

代表的な公共交通機関として、電車、バス、タクシーが挙げられます。

電車

鉄道の特性上(線路)、基本的に全ての駅でバリア―があります。特に大きな問題として、改札からホームに移動する為には線路を越える必要(高低差)が出てきます。

平成22年度の末にバリアフリー法の基本方針が改正され、1日の平均利用客が「3000人以上」の駅(約3450駅/9500駅)を原則として全てバリアフリー化することになりました(平成32年度末までに)。

しかし、地方でも主要な駅はバリアフリー化が進んでいますが、地方路線沿いの駅では思うようにバリアフリー化が進んでいない現状があります。

電車「対応方法」

主要な鉄道はホームページ上で各駅の構内図を載せています。事前に確認することで駅構内でのルート選びが出来ます。同様にバリアフリー情報も載せています。

ただし、残念ながら主要な駅に限られており、小さな駅では情報が載っていない為、直接確認する必要があります。

引用文献:JRおでかけネット

バス

バリアフリー化されたバスは「ノンステップバス(床面からの高さが30cm以内など)」や「低床バス(床面からの高さが65㎝以下など)」があります。やや古いデータですが、国土交通省よりノンステップバスや低床バスの割合について報告が挙がっています。

引用文献:国土交通省平成22年度末 自動車交通関係移動等円滑化実績等について

平成22年時点(赤枠)で、ノンステップバスが27.9%。低床バスが49.4%となっています。毎年2~3%程度の増加が見られていますので、現時点でノンステップバスの割合は50%近くまで到達しているのではと考えられます。

下関市内の路線バスは「サンデン交通」という会社が担っています。サンデン交通のノンステップバスは青色(通常は違う色)をしているので、直ぐに見分けがつくのですが、個人的な印象としてもノンステップバスが増えていると感じています。

引用文献:国土交通省平成22年度末 自動車交通関係移動等円滑化実績等について

ノンステップバス導入割合の多いバス会社一覧です。1位の尼崎市交通局は100%です!平成22年時点で100%とは素晴らしいですね‼こうやってみると、上位を占めるのは大都市圏の会社に限られています。やはり、バスに関しても地方格差が存在しているようです…。

バス「対応方法」

ノンステップバスへの車椅子での乗車方法に関して動画を見つけました。バス会社によって多少の違いはあるかもしれませんが、基本的には同様の方法で乗車出来るかと思います。

やはり、ホームページ上や直接問い合わせるなどして、事前に情報収集することが重要となります。

タクシー

タクシーの中でも車椅子のまま乗車できるものを「福祉タクシー」や「介護タクシー」と呼びます。以下の図のように、特に福祉車両限定タクシーの伸び率が大きくなっています。福祉タクシーの伸び率が大きい要因としては、平成12年から開始された介護保険制度も考えられますね。

引用文献:国土交通省 地域における福祉タクシー等を活用した福祉輸送のあり方調査報告書

電車やバスと違い自宅前まで迎えに来てくれる為、最も便利が良いと言えます。反面、利用料金も割高となる問題も挙げられます。

タクシー「対応方法」

電車やバスと違い、特定の地域に様々な会社があるのがタクシーです。特に福祉タクシーとなると、小さな会社が乱立している現状もあります。様々な会社があるということはサービスのレベルにもバラつきが出やすいとも言えます。

ホームページなどで分かり易い情報公開(サービス内容や料金形態)がなされているか?電話対応は丁寧か?などを事前に調べることが重要です。

まとめ

障がいをもつ方や高齢の方などにとって外出とは、通院や買い物など生活に必要不可欠なものとなります。更に加えて、散歩や旅行や遊びなど「QOL(人生の質・生活の質)」を高める為にも重要な要素となります。自身の意志で行う「自律的な外出」に向けた方法を検討していくことが求められます。



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