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車椅子の選定方法「リハビリ現場の療法士が解説」

目次

車椅子=QOL

本格的な超高齢化社会を迎える中で、車椅子の出番は益々多くなっています。特に長い時間を車椅子で過ごす方にとっては車椅子の快適性がQOL(キューオーエル⇒人生の質)に結び付くと言っても過言ではありません。

車椅子には多くの種類がありますがご存知でしょうか?多くの方は公共施設に設置してあるような青色シートの標準的なタイプをイメージするのではないでしょうか。

今回は幾つかの視点にて車椅子を選ぶ方法をご説明していこうと思います。

車椅子の選び方

車椅子の選び方は幾つかの基準に沿って行うことをおススメします。

  1. 体格
  2. 駆動方法
  3. 座位保持能力
  4. 移乗能力
  5. 使用場所
  6. 使用頻度
  7. 疾患状況

車椅子は購入やレンタルを含めて各種保険の対応となる可能性があります。ますは、ご自身が加入する保険組合などに問い合わせてみましょう。

体格

体格に合わせた選定方法を下図に載せます。ただし、あくまでも目安です。実際に乗って試してみることが重要です。

駆動方法

自力駆動が可能

タイヤ横に自走用のハンドリムが付いているタイプであれば、基本的には種類を選びません。その他の要件を踏まえる必要がありますが、多くの選択肢の中から選ぶことが出来るでしょう。

半側(片手・片足)駆動が可能

半側で車椅子を操作する場合は、上下肢で役割が違うことを理解しておく必要があります。

上肢では「駆動」の役割を担います。実際にやってみると分かりますが、片手だけでは真っすぐに進むことが出来ません。

下肢では「舵」の役割を担います。自身の進みたい方向に足を出すことで進路をコントロールすることが出来ます。因みに下肢に関しては「駆動」の役割も担えますが、推進力の不足から坂道などは難しくなります。上肢駆動と組み合わせる方が効率が良くなります。

車椅子への移乗にも一定の制限があることが多い為、ひじ掛けが跳ね上げ出来るタイプや、フットプレート(足置き)が開く(スイングアウト)出来るタイプを導入することもおススメです。

ブレーキに関しても工夫が必要です。動かない側(麻痺側など)のブレーキに手が届かない場合もあるので、ブレーキを長くするなどの調整が必要となります。

自力駆動が困難

自身での操作を希望するのか?介助者に任せるのか?で違いが出てきます。

自身での操作を希望する場合は、電動式車椅子がおススメです。操作方法も指先や顎の動きだけで操作出来るジョイスティック型などがあります。

介助者に任せる場合は、車輪が小さくコンパクトな介助用車椅子がおススメとなります。

座位保持能力

一定時間の座位保持が可能

基本的には種類を選びません。その他の要件を踏まえて車椅子を選ぶことをおススメします。

短時間の座位保持が可能

よりシビアに体形に合った車椅子を選ぶ必要があります。座面や背もたれの調整が出来るモジュール型車椅子がおススメです。また、車椅子だけで対応するのではなく、クッションなどの道具も併用する方が効果的です。

座位保持が困難

自身での座位保持が困難な場合には背もたれの角度を変えることが出来るリクライニング車椅子がおススメです。ただし、背もたれえを倒すタイプだと臀部のずり落ち(仙骨座り)を誘発する為注意が必要です。座面やフットレストが背もたれと連動して上がるタイプが良いでしょう。

移乗能力

立位での移乗が可能

車椅子の種類は選びません。その他の要件も踏まえて選択することが出来ます。

座位での移乗が可能

座位での移乗が可能な場合は車椅子まで横滑りの様な形で移乗することになります。その為、跳ね上げ式のひじ掛けが必要となります。また、フットレストに関してもスイングアウト可能なタイプがおススメです。

移乗をより安全で楽に行う為には、スライディングボードなどの福祉用具の利用も検討していきましょう。

自力での移乗が困難

「座位での移乗」と同様に、跳ね上げ式のひじ掛けや、フットレストがスイングアウト可能なタイプがおススメとなります。

使用場所

屋外で使用

不整地での走破能力の高い大型キャスター(前輪)付き、ノーパンク式タイヤなどがおススメです。

屋内で使用

屋内でも病院などバリアフリー化が進んだ場所では種類を選びません。ただ、一般住宅では小回りの利く小型車椅子など、取り回しを重視したタイプをおススメします。

複数の場所で使用

複数の場所で使用する場合は、車などへの持ち込みも想定する必要があります。折り畳んだ状態で車のトランクに入るのか?自分でトランクまで持ち上げることが出来る重量なのか?実際の場面で検討する必要があります。

使用頻度

車椅子は購入にしてもレンタルにしても安い物ではありません。滅多に使用しないのに高価(高機能)な車椅子を用意する意味は少ないかもしれません。頻度の視点から考えてみることも大切ですね。

疾患状況

対麻痺(脊髄損傷など)

脊髄損傷レベルによって残存能力が大きく変わります。残存した能力を活かした車椅子の選定が必要となります。また、臀部の感覚障害がある場合は、褥瘡予防の為のクッション選定も重要となります。

片麻痺(脳血管疾患など)

脳血管疾患に関しても、脳の損傷レベルによって残存能力が大きく変わります。また、身体機能だけでなく認知機能障害の影響も踏まえて安全に考慮した選定が求められます。

高齢による廃用

高齢による廃用の場合も、身体機能や認知機能の状況に応じた選定が必要です。また、やむを得ない場合を除いて、車椅子を最終ゴールにしない。つまり、車椅子からの自立を目指す努力が求められます。

 

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