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IADL・手段的日常生活動作「電話編」~動作別の問題点と対応方法~

目次

IADL「手段的日常生活動作」とは

よく耳にする言葉としてADL(日常生活動作)と区別するうえで、IADL(手段的日常生活)という言葉があります。

まず、ADLとは「1人の人間が独立して生活するために行う基本的なしかも各人ともに共通に毎日繰り返される一連の身体的動作群をいう(日本リハビリテーション医学会)」と定義されています。

私なりにシンプルに解釈すると、ADLは生きる(生活)するために必要な最低限度の能力と考えることができます。それこそ、病院でのリハビリテーションでは、ADL能力の改善が最重要課題として扱われます。

つぎに、IADLとは、家事動作や金銭管理など社会的な生活を営むうえで必要な能力を指します。一般的にはADLよりも、求められる能力が高い(多い)ため、より高次な動作と言われています。

IADLは、各人での個人差が大きくなる傾向があります。また、必ずしも「生きる」ためには必須な能力ではない為、病院などでは後回しにされることもあります。ただ、「個人差が大きい=その人らしさ」とも言えます。つまり、病院を退院後に在宅(社会)生活を「自分らしく」送るうえでは非常に重要な能力であると言えます。

ADLの改善を重視した「生きる」ことと、「活きる」の違いについて「サイトコンセプト」にて述べています。以下のリンクをご参照下さい。


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IADLの評価方法について

IADLの評価については、幾つかの評価方法が出ていますが、一般化(カットオフ)されたものはありません。以下に代表的な評価尺度について提示します。

参考文献:日本老年医学会

共働き世帯や独居生活の増加などライフスタイルの変化は、男性でも食事の準備が必要になるなど、性別差による区別は時代遅れになってきています。点数差に対する解釈も困難な為、実用性は低いと評価とも言えます。

生活にとっての電話とは

今回は、IADL項目の中でも「電話」についてご説明致します。

現在の通信方法で代表的な手段としてスマートフォン(以下スマホ)が挙げられます。全体平均で60.9%(2017)、20歳代~40歳代に限れば90%前後の保有率となります。つまり、若年者を中心に多くの世代でスマホの利用は必須になっていることが分かります。

また、40歳代から70歳代までの急激な伸び率も目立ちます。中高年にとってもスマホは身近な存在になりつつあるのが、図表から読み取ることができます。

スマートフォン個人保有率の推移

出展:総務省情報通信白書平成30年

スマートフォンに必要な能力

画面操作

タップ
  • 目的⇒ボタンを押すなど「決定」を指示する操作。
  • 操作⇒主には示指(人差し指)にて画面を軽く1回押さえる。※中指にて操作するケースもあり。
  • 運動⇒示指MP関節伸展~屈曲もしくは、示指中間位にて手関節背屈~掌屈。※指関節(MP・IP)もしくは手関節によるコントロールの2パターンあり。
ダブルタップ
  • 目的⇒PCでのダブルクリックに相当するが、スマホ上での使用頻度は低いと考えられる。
  • 操作⇒主には示指(人差し指)にて画面を軽く2回連続で押さえる。※中指にて操作するケースもあり。
  • 運動⇒「タップ」の運動に準じるが、同じ運動を2回連続で行うことから、より難易度が高くなる。
ロングタップ
  • 目的⇒ホーム画面上のアプリを移動できる状態にする際などに使用。
  • 操作⇒「タップ」に準じるが、画面を一定時間(1秒以上)抑える必要がある。
  • 運動⇒「タップ」に準じるが、画面を一定時間(1秒以上)抑える能力が求められる。
ドラッグ
  • 目的⇒「ロングタップ」にて指定したアプリを移動する際に使用。
  • 操作⇒指を画面から離さずに画面上を滑らせる。
  • 運動⇒「ロングタップ」の運動に加えて、上肢全体の運動(肩・肘)も加わる。肩関節(屈曲伸展、内外転)。肘関節(屈曲伸展)。
ピンチアウト
  • 目的⇒画面を拡大するときなどに使用。
  • 操作⇒主には示指と母指による指尖つまみ(OKサイン)の状態から両指を開く。
  • 運動⇒示指と母指による指尖つまみの状態よりIP、MP関節伸展。
ピンチイン
  • 目的⇒画面を縮小するときなどに使用。
  • 操作⇒「ピンチアウト」と逆の操作を行う。
  • 運動⇒示指と母指のIP・MP関節軽度屈曲位から指尖つまみへ移行。
フリック
  • 目的⇒文字の入力や画面全体を移動させる際に使用。
  • 操作⇒画面上を指で押さえた状態から指を払うように動かす。
  • 運動⇒示指の場合(IP関節屈曲伸展・前腕回内外)。母指の場合(IPMP関節屈曲伸展・掌側内外転)。
スワイプ
  • 目的⇒ロック画面の解除などに使用。
  • 操作⇒「フリック」に似ているが、指を払う動作がより大きくなる。
  • 運動⇒「フリック」の運動に準じる。

その他の操作

充電

スマホを充電する際は充電ケーブルに繋ぐ必要がありますが、これがまた小さいです…。小さな充電ケーブル(コネクター)を、スマホの小さな受け口に接続する。手指の高い巧緻性を要する動作であることが分かります。

取り出し

当たり前ですが、スマホは携帯する物です。呼び出しがあった場合など、カバンの中やポケットから素早くスマホを取り出す能力も必要となります。

感覚機能

聴覚

当然ですが、電話の音声は生の音声を機械的に変換させて相手に届けています。その為、電話機(スマホ)そのものの設定(音量など)や周囲の環境(騒音や電波状態が悪いなど)に影響を受ける可能性があります。よって、電話機を使いこなすためには一定の聴覚機能を持つことが求められます。

視覚

スマホ全般に言えることですが、操作画面が小さいため表示される文字なども小さくなります。その為、一定の視覚機能が求められます。

認知機能

記憶機能
  • 短期記憶⇒会話(メール)を成立させる為には、相手との会話の内容を随時記憶しておく必要がある。
  • 長期記憶⇒会話の中では過去の話題などが出ることもある。また、スマホの各種操作に関しても方法を記憶しておく必要がある。
  • 意味記憶⇒長期記憶とも重なるが、各種操作方法などを記憶しておく必要がある。
  • エピソード記憶⇒会話を成立させる為には、自身の出来事(エピソード)を記憶しておく必要がある。
  • 手続き記憶⇒上記操作方法でも説明したように、スマホを扱ううえでは様々な操作方法を身に付けておく必要がある。手続記憶に障害が発生すると、スムーズな操作が困難となる。
注意機能

注意の集中、注意の持続、注意の選択、注意の分配、注意の容量などスマホの操作には様々な注意機能が必要となります。

より細かな説明などは、メーカーが直接対応してくれるようです。

※以下の画像からはリンクされていません。⇒下段の「画像引用」よりリンクされています。

画像引用:Apple Accessibility

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固定電話に必要な能力

電話操作

受話器の取り上げ
  • 操作⇒受話器を手に取って、耳に当て続ける能力。
  • 運動⇒母指と他の4指が対立する握り(MP・IP関節屈曲)のまま、肘関節屈曲・前腕回外。
受話器を置く
  • 操作⇒受話器を電話機に戻す能力。
  • 運動⇒「受話器の取り上げ」と逆の手順。
ボタン操作
  • 操作⇒示指にてボタンを押す能力。
  • 運動⇒示指中間位(他指は屈曲位)にて手関節背屈~掌屈。

スマホに対する対策方法

以下はアップル(Apple)社製のアイホン(iphone)に関しての説明となります。グーグル(goolge)社製のアンドロイド(Android)に関しては、細かな使用方法は違いますが、基本的には同様の機能を有していると考えて良いです。

身体機能障害への対応

スイッチコントロール

指定された項目(機能)の間を順番に移動しながら、特定のアクション(機能)を実施できるようになっています。全ての操作はスイッチ一つで実施できるのに加えて、身体状況に応じたスイッチタイプも選択することが可能です。

画像引用:Apple Accessibility

手が殆ど、あるいは全く動かせない場合でも、その他の部位の動きをカメラで読み取ってスマホをコントロールします。

Siri(シリ)

これは有名ですね。声掛けに対してスマホが答えてくれる機能です。声掛けで様々なスマホの機能をコントロールできるだけではなく、特定の単語に機能を関連付けることができます。例えば、「帰宅」と言うだけで、家までの経路を検索したり、家のエアコンのスイッチを入れたりすることが出来ます。

音声入力

スマホに話しかけるだけで、キーボードを全く使わずに、メールやメモ機能を利用することができます。

AssistiveTouch(アシスティブタッチ)

特定の動きとスマホの機能を関連付けることができます。例えば、指の震えが大きくてホームボタンをピンポイントで押すことが難しい場合では、画面をタップすることでスマホをオンにすることも可能です。

自身の身体機能(出来る動作)に合わせた操作方法をスマホに記憶させることが可能となります。

車椅子などに固定した場合でも回転やシェイクなどのジェスチャーを使用することができます。

視覚障害への対応

VoiceOver(ボイスオーバー)

画面をタップすることで、画面上の特定の文字をスマホが読み上げてくれます。また、画面の中の写真を説明することもできます。例えば写真に写っているものが花なのか猫なのか?それとも4人の笑顔なのか?などです。

加えて、写真の中の文字まで読むことができます。例えばレシートなどを写真で保存すれば、内容を後から確認することもできます。また、写真に写っている人の表情も説明することができます。

その他、点字などの入力にも対応できるようになっています。

しかし、凄いです…。ここまでスマホのアクセシブル機能が進んでいるとは!

ズーム・フォント機能

ズーム機能とは、画面上の特定の場所を拡大して見ることができます。また、フォント機能では、画面上の文字を太く読みやすい字になるように自由にフォントを調整することが可能となります。

拡大鏡

カメラ機能を利用してデジタルの拡大鏡として利用することができます。フラッシュ機能を照明として利用したり、フィルタを調整してより見やすい色にすることもできます。

聴覚障害への対応

補聴器との連動

Bluetoothを使って補聴器とスマホを連動させることができます。通常、補聴器の音量調整などは小さな小さなスイッチを触るか、専門の業者に依頼する必要がありました。しかし、スマホと連動することで、スマホの画面上で補聴器の音量やバランスの調整を行うことができます。

更に、騒音の大きな場所で会話する場合などは、スマホを話し相手に近づけることで、集音器として使うことができます。そのため、賑やかな場所でもクリアに相手の話しを聞くことができます。

Siriにタイプ入力

Siriは声による呼び出しが一般的ですが、メールを打つようにタイプ入力にて呼び出し、操作することが可能です。

FaceTime(フェイスタイム)

いわゆるビデオ電話ですね。映像を利用することで手話やメモなどを使ったコミュニケーション(会話)を行うことができます。

その他の機能障害

読むためのサポート

Siriに「画面の読み上げ」と話しかけることで、開いているページの全ての文字が読み上げられます。

Safari(サファリ)リーダー

画面上の広告やボタンなどを外すことができます。読みたいものに集中できる環境をつくることが出来る為、注意障害がある場合などに有効です。また、VoiceOverと組み合わせることも可能なので、視覚に加えて聴覚的な情報にて補うこともできます。

アクセスガイドとスクリーンタイム

特定の機能(アクション)を制限したり、利用時間をコントロールすることが出来ます。特定の機能に集中できる環境を周囲の人が設定(コントロール)できることが特徴となります。

充電への対応

比較的新しい機種に限定されるかもしれませんが、置くだけで充電することが可能な「ワイヤレス充電」対応機種が出てきています。
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取り出しへの対応

身体状況に応じて取り付け位置を検討する必要がありますが、外付けのスマホポーチなどが有効です。

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高齢者向けスマホ

ドコモ社製の「らくらくスマートフォン」など、高齢者向けのスマホなどもアイコンの大型化等々、使いやすい設定になっています。ただ、上記にて説明したように、通常のスマホのアクセシブル機能でも遜色のない使用感となっています。敢えて利用する必要性は低いかなとも思います。

固定電話に対する対策方法

視覚障害への対応

電話をかけてきた相手の名前を読み上げる機能などがあります。固定電話に関してはボタンに凹凸があるため、指での感触(触覚)を利用した操作が基本となります。

聴覚障害への対応

電話での会話内容を文字で画面上に出す商品が販売されています。

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受話器に直接取り付けて、音量を上げる装置も販売されています。これであれば、より気軽に利用することもできますね。

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スマホのアクセシブル機能が凄かった!

今回の調査で、スマホのアクセシブル機能に関する進歩にとても驚きました。極論を言うとスマホと周辺機器だけで身の回りの多くの用事を済ますことが出来るかもしれません。

身体を殆ど動かすことが出来ない患者さんが使用する「環境調整装置」など、病院で使用する機器はどうしても高額になりがちです。しかし、同様の機能を身近なスマホに求めることができるのであれば、素晴らしいことだと思います。

スマホのアクセシブル機能に関しては、私自身は未経験の機能もあります。機会があれば、周辺機器も含めて実際に扱ってみたいなと考えています。

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プロフィール

 

 

病院にて作業療法士として勤務する傍ら、休日は

 

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