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フレイル・サルコペニア・ロコモ予防方法【食事・運動内容】

R3.8 加筆修正

はてなのひと
はてなのひと
フレイル、サルコペニア、ロコモの違いって何だろう?それぞれに予防方法って違うのかな?

目次

フレイルとは?

フレイルとは欧米にて50年程前からfrailty(虚弱)取り上げられていた概念です。

年齢を重ねること(加齢)に伴って、心身に様々なマイナス的な変化が生じ、悪化することで、日常生活能力、転倒、認知症、入院、死などに陥りやすくなった状態を指します。

ただし、フレイルとは「健常」と「障害」との間にある状態にあり、適切な対応を行うことが出来れば、「健常」に近い状態まで戻ることも可能です。

フレイルは「身体的フレイル」、「精神的フレイル」、「社会的フレイル」の3つの側面から考える必要があります。

身体的フレイル

身体的フレイルに関しては、以下の表にて判定する方法が提案されています。

引用データ:国立長寿医療研究センター フレイル研究部

身体的フレイルの原因として、以下が挙げられます。

  • 身体機能の低下(歩行速度の低下、筋力低下、体力低下)
  • 食欲不振による慢性的な低栄養
  • 慢性疾患(循環器疾患、呼吸器疾患等)

精神的フレイル

上記、身体的フレイルに認知障害(軽度認知機能障害、抑うつ)を併発した状態を指します。

ただし、精神的フレイルを個別的に判定する基準は明確には定まっていません。まだまだ、研究や議論の余地があるようです。

社会的フレイル

社会的フレイルとは、外出機会の減少、独居生活、貧困、老老介護など社会的な活動(交流)が減少している状況を指します。

精神的フレイル同様、個別的に判定する基準は明確には定まっていません。

日本での多面的(身体・精神・社会)フレイルの判定基準

高齢者のフレイル(虚弱)とは、身体的側面のみが着目されがちですが、実際は精神的側面や社会的側面も含めた多面的側面にて捉える必要があります。

以下の表は、厚生労働省より発表された、多面的フレイル(介護予防基本チェックリスト)になります。

  1. バスや電車で1人で外出していますか
  2. 日用品の買い物をしていますか
  3. 預貯金の出し入れをしていますか
  4. 友人の家を訪ねていますか
  5. 家族や友人の相談にのっていますか
  6. 階段を手摺りや壁をつたわらずに昇っていますか
  7. 椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか
  8. 15分位続けて歩いていますか
  9. この1年間に転んだことはありますか
  10. 転倒に対する不安は大きいですか
  11. 6か月間で2~3kg以上の体重減少がありましたか
  12. BMI⇒体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が18.5未満ですか
  13. 半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか
  14. お茶や汁物等でむせることがありますか
  15. 口の渇きが気になりますか
  16. 週に1回以上は外出していますか
  17. 昨年と比べて外出の回数が減っていますか
  18. 周りの人から「いつも同じことを聞く」などの物忘れがあると言われますか
  19. 自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか
  20. 今日が何月何日かわからない時がありますか
  21. (ここ2週間)毎日の生活に充実感がない
  22. (ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
  23. (ここ2週間)以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられる
  24. (ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えない
  25. (ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする

0~3個⇒フレイルなし  4~7個⇒プレフレイル(フレイル予備軍)  8個以上⇒フレイル

引用データ:厚生労働省 介護予防のための生活機能評価に関するマニュアル(改定版)

サルコペニアとは?

サルコペニアとは加齢に伴う筋肉量と筋力の低下を指します。

前述の「身体的フレイル」とほぼ同じ意味にて考えられる場合が多いですが、より「筋量・筋力」に着目した概念のため「運動」と「栄養」の側面から考えることが重要となります。

サルコペニアの原因は加齢以外にも以下表のように分けることができます。

分類 原因
1次性サルコペニア・加齢性サルコペニア 加齢以外に明らかな原因がないもの
2次性サルコペニア・活動に関連するサルコペニア 寝たきり、不活発な生活スタイル、無重力状態が原因となり得るもの
疾患に関連するサルコペニア 重症臓器不全、炎症性疾患、悪性腫瘍、内分泌疾患に付随するもの
栄養に関連するサルコペニア 吸収不良、消化管疾患、および食欲不振を起こす薬剤使用などに伴う、摂取エネルギーおよび/またはタンパク質の摂取力不足に起因するもの食欲不振をきたす薬物の使用

引用データ:サルコペニア:定義と診断に関する欧州関連学会のコンセンサスの監訳とQ&A

 

ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは?

ロコモとは運動器(骨、関節、筋肉等)の障害によって歩行機能が低下した(要介護)状態を指します。サルコペニアと比べると、より狭義の意味で扱われることが多いです。

要因としては「ヒト特有の二足歩行」と「長寿社会により、より長く運動器を使用することになった」ことが挙げられます。

ロコモの判定基準

ロコモの判定には幾つかの方法を行う必要がありますが、以下に紹介する方法は最も簡単かつ安全に行えるものです。

  1. 両腕を前で組む
  2. 高さ40cmの台(椅子)に座る
  3. 両足でゆっくりと反動をつけずに立ち上がる
  4. そのまま3秒間保持する

立ち上がることができなかった場合はロコモの疑いがあります。なお、判定時には転倒などに十分注意して実施して下さい。

フレイルとサルコペニアとロコモの関係とは

上図からも分かるように、フレイルは非常に広い概念となっており、身体的、精神的、社会的フレイルが相互に絡み合いながら負の循環を繰り返していきます。

サルコペニアに関しては、身体的フレイルの中に含まれる概念ではありますが、より「運動」と「栄養」の視点が強くなります。

ロコモに関しては身体的フレイルの中でも運動器障害(変形性膝関節症、骨粗鬆症等)を中心とした概念となります。

フレイル・サルコペニア・ロコモの対策方法

フレイル、サルコペニア、ロコモ各々に様々な対策方法が提案されていますが、共通する点は「運動」「栄養」のバランスになります。

運動

手軽で効果的な運動は「ウォーキング」になります。特別な器具も必要ありませんし、ウォーキング中に外の空気に触れることは、精神面にも良い影響を及ぼします。

ウォーキングの方法

  • いつもよりも大きく手を振り足を出す
  • いつもより少し歩くスピードを上げる
  • 1時間のウォーキングであれば週3回、30分のウォーキングであれば週5回程度が目安

ウォーキングの注意点

  • 特に循環器の病気をお持ちの方は事前にかかりつけ医に相談を行う
  • 事前にストレッチなど準備運動を行う
  • 適切な靴の選定を行う
  • 適切に水分補給を行い脱水を予防する
  • 痛みなどの異変を感じたらウォーキングを中止する
  • ウォーキング中の転倒や事故に注意する
  • 無理をしない、徐々にペースを上げていく

栄養

サルコペニアは加齢による筋肉量や筋力の低下が原因と捉えられています。

筋肉に必要な栄養素はタンパク質が代表的ですが、エネルギー(カロリー)そのものも重要となります。

必要なエネルギーを摂らずに運動などを行うと、余計に筋肉を壊してしまうことにもなりかねません。加えて、タンパク質を筋肉に変えるときにもエネルギーは重要となります。

栄養の摂取方法

  • 1日3回の食事から5大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物、無機質、ビタミン)をバランス良く摂取する
  • タンパク質は動物性、植物性偏らずにバランス良く摂取する
  • タンパク質と同時にビタミンB₆(にんにく、まぐろ、かつお、レバー等)を摂取するとタンパク質の代謝が促進
  • ビタミンD(シラスなどの魚類)の摂取、屋外での日光浴(紫外線)もビタミンDを生成
  • 運動後、もしくは直前に栄養補助ゼリーの摂取も効果的
  • 腎機能障害などがある場合はかかりつけ医に相談する

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観光という目的を♪

ただ、目的もなく適切な運動や栄養摂取を続けることは難しいケースも多いと思います。

例えば、「半年後には下関の唐戸市場で美味しいお寿司を食べるぞ!」「そのためにはもっと足腰を鍛えなければ‼」などの目的があれば、無理なく継続も可能になるのではないでしょうか。

事実、観光地をより楽しむためには自身の移動能力(脚力や交通機関を利用する)が重要になりますので、理にかなった方法となります。

 

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