糖尿病の予防にこれ!効果的な「2種類」の運動方法
目次
糖尿病の検査と治療
糖尿病検査の基本は血液検査となります。血液検査では主に以下の項目を調べます。
- 空腹時血糖値⇒一定時間(約10時間)絶食してから血糖値を測ります。
- ブドウ糖負荷試験⇒検査用の砂糖水を飲んで一定時間(2時間程度)経ってから血糖値を測ります。
その他、口渇、多飲、多尿、体重減少などの糖尿病の典型的症状や3大合併症の存在などを踏まえて総合的に診断されます。
糖尿病と診断された場合は「合併症の予防と進行の抑止」を目的に血糖値コントロールを中心とした以下の治療が行われます。
- 食事療法
- 運動療法
- 薬物療法
いずれの場合も医師を中心とした専門家の指導のもとで行われることが重要な条件となります。
糖尿病の発生リスク
糖尿病を発症すると、医師の指示のもとで食事療法、運動療法、薬物療法を組み合わせた治療が行われます。ただし、いずれにしても糖尿病とは長い付き合いになることを覚悟しなければなりません。
そこで重要になるのが「事前の予防」となります。まずは、以下の表を利用してご自身の「糖尿病発症の確率」を確認してみましょう。
合計点数が5点以下の方は現時点では糖尿病発症のリスクは低いようです。引き続き現在の生活習慣を維持しましょう。
6点以上の方は段階的に糖尿病発症のリスクが高まっていきます。運動療法や食事療法を中心とした取り組みにより、現状の生活習慣の見直しを検討しましょう。
糖尿病の予防と運動療法
糖尿病の予防や血糖値のコントロールには「運動療法」の実施が効果的であると報告されています。
理由はシンプルです。「運動」を行うことで血液中の「ブドウ糖」をエネルギー源として筋肉などの細胞内に取り込みます。結果、血液中の「ブドウ糖」が減少するということです。
糖尿病の予防や血糖値コントロールに効果的な「運動療法」には以下の2種類が挙げられます。
有酸素運動
有酸素運動の効果
有酸素運動を行うことで体内への酸素の取り込みが増大します。結果、インスリン抵抗性(インスリンの働きが鈍くなる⇒ブドウ糖を筋肉や細胞に取り込みにくい)を改善すると言われています。
また、継続的な運動は肥満の防止にもつながります。肥満の防止は炎症性サイトカイン(炎症反応を促進させる物質⇒筋量減少の要因)の産生減少という副次的効果にもつながります。
有酸素運動の種類と方法
- ウォーキング⇒最も手軽で効果的な方法です。通常の歩行よりもやや強度を上げます(いつもより速く、大きく手を振る、大きく足を出す)。ウォーキング方法の詳細は「本当は怖い!高齢者のフレイルとサルコペニアとロコモ」をご参照下さい。
- 歩行⇒日常生活での歩行です。ウォーキングなどの時間が取れない方はお勧めです。ただし、運動負荷量が少ない為、1日「13000歩」を目安となりますので、ハードルは高くなります。万歩計を用意してモチベーションを維持しながら取り組むことが成功の秘訣となるでしょう。
- 自転車⇒膝への負担を避けることができるため、体重オーバーの方にはお勧めです。車や電車通勤から自転車に変えることで「通勤費用」も浮きますので一石二鳥となります。私自身の経験上でも片道20~30分、往復1時間程度でも体重減少などの効果が出てきます。
有酸素運動の欠点
欠点らしい欠点はありません。強いて挙げるのであれば、有酸素運動には「筋肉」を付ける(筋量を増加)効果が少ないことが報告されています。
レジスタンストレーニング(筋トレ)
レジスタンストレーニング運動の効果
血液中の「ブドウ糖」を細胞に取り込む役割を担う物質があります。この物質は特に筋肉内の細胞に多く存在しています。レジスタンストレーニング(筋トレ)により筋量が増えることで、この物質も増加することになります。
結果、より多くの「ブドウ糖」を筋細胞内に取り込み血糖値のコントロールを可能にします。
レジスタンストレーニング運動の種類と方法
マシントレーニング、ダンベル、ゴムチューブなど道具を使用した比較的高負荷のトレーニングとなります。
- 腕、体幹、足などの大きな筋肉を使用する
- 1セット10回×3セット程度
- 毎日は行わない
- 週2~3回程度
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レジスタンストレーニング運動の欠点
やや負荷が高い運動となるため、急な血圧上昇に注意が必要です。息を止めて「気張らない」など急に血圧が上がらないような工夫が必要となります。
また、関節にも大きな負荷がかかるため、「痛み」が発生する場合もあります。「痛み」が発生した場合は無理をせずに、運動を中止して様子をみましょう。
有酸素運動・レジスタンストレーニング共通の注意点
ご高齢の方、循環器疾患や骨関節系疾患をお持ちの方は、かかりつけの先生に相談のうえで始めて下さい。
加えて、運動時には「低血糖」になる恐れもあります。よって、理想的な運動を行う時間帯は「食後1時間~3時間」となります。
また、単発での運動は効果がありません。「運動の継続」が非常に重要となります。「観光」など目的をもって運動に取り組む、「仲間」と運動に取り組むなど、モチベーションを高め方法がオススメです。
糖尿病の予防と食事療法
「糖質ダイエット」など様々な話題が挙がっていますが、一番大切なことは「バランスの良い食事」と「適量」です。「糖質」を含め、それぞれの栄養素はそれぞれに役割があり必要とされるものです。
例えば、「糖質」を抜くことで⇒脳に栄養が行かずに意欲が湧かない⇒身体を動かす気にならない⇒体力や筋力が落ちる⇒糖尿病が進行する。など、本末転倒になりかねません。
また、どんなに良い栄養素でも必要以上に摂取すれば、肥満につながっていきます。何事も「適量」が重要となります。
糖尿病の方へ
今回、ご紹介した内容は「糖尿病の予防」を目的とした方々を対象としています。加えて、「糖尿病」の方にも適応のある内容にはなっています。
ただし、「糖尿病」は合併症など様々な状況を踏まえたうえでの方針決定が求められます。その為には、医師をはじめとする専門家の指導のもとで取り組むことを強くお勧めします。